飯田十基の自邸と庭 見学2

2011.8.22のブログのつづき、建物編(数寄屋風の建築)です。

設計は北尾春道ですが、建て主である飯田十基のこだわりも色濃くでていて、職人とのプライドを懸けたやりとりの逸話も聞くことができました。

ポーチの袖壁に開けられた下地窓。左官壁のテクスチャーが独特です。

玄関。向かって右に、庭に面した応接室(たぶん土足使用)への入口があります。

応接室。左の雨戸(外側)を開け放すと庭が広がります。右側は床が40センチぐらい高くなった和室で、雪見障子で仕切られ、南に傾斜した庭の景色を、室内の奥からでも楽しめるように設計されています。

茶室はとてもシンプルなデザイン。天井廻り縁、棹縁が省略されるなど、徹底した簡素化が追求されています。

よく見ると、下がり壁に張られた竹の小口や階段蹴込み板の小口が見えなかったり、ここ数年アーキプレイスでも追求しているデザイン手法の一つ、「材料の厚さを消す」「角で材料を切り変える」ことでシンプルで軽快な空間をめざ方法が、50年以上前に試みられていること驚くとともに、改めて”ご縁”を感じました。

2階。手すりは低く抑えられ、庭の緑が大きな窓の外に広がります。4枚のガラス戸は左側の戸袋に引込み可能。

当時、娘さん用に作られた部屋は、西側にも大きな窓がありますが、西日が暑いため雨戸が閉められています。左が階段室への入口。

木製建具の隙間や、部屋に一カ所にしかないコンセントなど、現代生活にはつらい面もあると伺いました。

戸袋の室内側に付いたガラス入り建具。引込み戸を開閉のするための開口ですが、換気や採光にも利用か?

よく見ると、木枠やガラス入り建具の桟には少し丸みが付いていて(設計者:北尾春道の特徴なのだそうです)ガラスも2種類使われています。

この建具をじっくり見ていたところ、Sさんが「持っていかれますか」と言われ、記念のお土産としていただいて帰りました。

 

天井の造りが面白い階段室。この階段室には東に向いた窓があり、午前中の光をこの窓から玄関や2階に取込もうとしたのだと思います。

階段室のボリュームや縦長の窓が、外観のアクセントになっています。窓の格子は八角形、こだわりを感じます。

瓦屋根の本体のから、金属屋根のボリューム(階段室と水廻り)が飛び出た構成。傾斜した道路に面する塀(竹張)は、優しくリズムを刻んでいます。

記念に頂いたお土産の建具。もっともっとたくさん勉強することがあると教えてくれているようです。

>>2011.8.22ブログ 飯田十基の自邸と庭 見学1

>>2010.12.6ブログ 雑木の庭 飯田十基

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