北海道から沖縄まで、24ヶ所の森が紹介されていく『日本の美林』(岩波新書)を軽い気持ちで読み始めましたが、これには環境を考える上での深い視点が含まれていると思いました。
”魚付き林(うおつきりん)” 。この『日本の美林』(岩波新書)で知った言葉です。
豊かな森は水をゆっくり流しキレイにしますが、それだけでなく海の生き物が栄養を取こむために欠かすことができないフルボ酸・鉄を供給し、魚の餌となるプランクトンを育み、魚の生息や繁殖を促す力があることが、白神山地や襟裳岬の例で知ることができます。
森が荒廃すると海も荒廃する。このことを昔の人も感覚的に知っていたようです。
”水”を媒介として”森”と”川”と”海”、すぺてが繋がっていて、一つの生態系が出来上がっていることを気づかせてくれた本でした。
他にも、日本のほぼすべての森には人の手が入っていて、信州のカラマツ林も作られたものであることや、世界一の品質を誇る備長炭になるウバメガシのことなど話題も豊富です。