RC(鉄筋コンクリート)造 横転の衝撃

東日本大震災で横転してしまった、RC(鉄筋コンクリート)造の2〜4階建てビルの衝撃的な写真が雑誌(日経アーキテクチュア2011.4-25号)に載っていました。

RC造は津波に強いと言われ、津波による倒壊は考えられていませんでしたが、17mの津波を記録した宮城県女川町では3棟のRC造のビルが横転し、一棟は基礎に埋め込まれていた杭が折れていました。

上の写真は、横転した鉄骨造4階建てのビルですが、杭が基礎から抜け、地中梁や柱下のフーチング見えています。これは地中にある建物の基礎を、地面の中から見たような写真で、たぶん今まで誰も見たことのない映像だど思います。

RC造横転の記事に関連して、被災地の初動調査を指揮された日本建築学会東北支部長・田中礼治氏のインタビューが載ったいましたが、その中で気になるところがありました。

田中「建物は、法に合っていなければ建築確認が下りません。ということは、確認を受けた建物の安全性は、木造でもRC造でも、本来は同じでなければいけない。・・・差があるのは困ります。」・・・

インタビュアー「3m以上の津波が来るエリアはどうすべきだと。」

田中「方法は二つ。一つは、木造で津波に耐える工夫をする。・・・一つは、RC

にするという方法です。木は、はなからだめだと言うわけではありませんが、使うなら工夫しなければいけない。RCと同等の安全性を持つべきだからです。」

簡単に言うと「建物は構造が違っても同じ安全性(津波に耐える)を持たねばならないと法が要求している」と、田中氏は言っているわけですが、これは木造、鉄骨造、鉄筋コンクリートの、木、鉄、鉄+コンクリートという材料の利点を活かし、欠点を補いながら発展・進化してきたそれぞれの構造形式の特性を無視する発言のように思えます。

例えば。木には燃えやすいとか乾燥収縮によりヒビが入るなどの欠点がありますが、産出量が豊富で軽くて加工しやすく、単位重量当たりの強度は鉄やコンクリートを上回るという他に代え難い特性があります。木造建築はその特性を元に日本の風土の中で千年以上をかけて育まれ、明治維新後の科学技術の導入や研究により改良・発展してきたものです。

日本では木造が冷遇されていた時期がありますが、近年木造建築に関する研究・技術開発がやっと盛んになり、その成果が現れてきたところです。今回の大震災により新たな「木造冷遇」に向かわないことを願っています。

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