シナ合板(榀合板)は、建築家が設計した住宅では仕上げ材としてよく使われ、住宅メーカーでは仕上げとして使われない材料なので、一時のコンクリート打放し仕上げのように建築家印のアイコン(icon)のようなものになっています。(あまりに使われるので、逆にシナ合板を敬遠する建築家もいます)
シナ合板とは、シナノキ(榀の木)を薄く切った単板を表面に貼った木質ボードのことで、シナベニアとも呼ばれるものです。コスト(費用)が安い材料であることが、よく使われる大きな理由です。
設計事務所アーキプレイスでも、このシナ合板を天井、壁、建具、造作家具などでよく使います。
シナ合板は木目が柔らかな印象であり、色味が明るく、白い壁とも合い、モダンなインテリアに使いやすい材料だと思っています。ただ、高級感を求められる建て主の方には物足りなく感じられる材料でもあります。高齢の方の中には、下地のままで仕上がっていない、押入れの中のようと、ネガティブな印象をもたれる方もおられます。
シナ合板をクリア塗装で仕上げる場合は、ツヤの具合だけに注意すればうまくいきますが、着色する場合は、白など明るい色に比べ、濃い色を塗ると濃淡の色ムラがでやすいので塗料を選ぶのに注意が必要です。
『早川皮フ科クリニック』 待合い〜中待ち
手前の通路部分はシナ合板のクリア塗装。奥の広くなり、上から間接照明で照らされる壁と建具(シナ合板フラッシュ)は少しグレーで着色しています。
『桜並木と暮らす家』 LDKの傾斜天井(勾配天井)にシナ合板を突き付け張りした例 塗装はワトコオイルのクリア塗装(塗るとほんの少しだけ飴色になります)
>>桜並木と暮らす家 竣工写真 その1
>>桜並木と暮らす家 竣工写真 その2
>>桜並木と暮らす家 竣工写真 その3
『室内化したテラスを持つ家』 寝室の本棚(シナランバー合板)と建具(シナ合板フラッシュ)に使用。シナ合板は、塗装することで好みの色で仕上げるころができますが、少し経年変化したような色に塗装(オスモカラー:パイン)した例
シナ合板に着色したい場合には、自然系塗料であるオスモカラーやリボスもオススメです。十数種類の色が用意されているので、塗り見本帳を取り寄せてお好みの色を選ぶことができます。
>>室内化したテラスを持つ家 竣工写真 その1
>>室内化したテラスを持つ家 竣工写真 その2
>>室内化したテラスを持つ家 竣工写真 その3
『緑あふれるアトリエのある家』 ワークスペースのデスク収納、吊り戸棚にシナ合板を使用 クリア塗装(3分ツヤ)でシナの木目の出方も綺麗な家具ができました
>>緑あふれるアトリエのある家 竣工写真ーその1
>>緑あふれるアトリエのある家 竣工写真ーその2
>>緑あふれるアトリエのある家 竣工写真ーその3
『木立に佇む家』 寝室の天井やクローゼットの扉(シナ合板フラッシュ)に使用 クローゼットのある壁面は扉以外の三角形部分もシナ合板にすることで、すっきりとした仕上げのインテリアにしています。
『庭に向かった家』 2階の天井全体にシナ合板を使いました。
目地を設けず、突きつけで貼りました。材料を選んでも自然のものなので色のムラは少しでます。
『木立に佇む家』 和室の壁
シナ合板を突きつけて張り、ダークブラウンで着色したあとクリア塗装。シナ合板に濃い色を塗るときはムラが出やすいのですが、この住宅では綺麗に仕上げることができました。
『木立に佇む家』書斎のデスク(机)や天井に使用
デスクはシナランバー合板(厚さ30)。シナランバー合板の長さは、市販の最大長さである4mを超えているので中間で継いでいます。
天井は、シナ合板の継ぎ目に目地を設けずに、突き付けで貼ることで、大きな窓を活かす、天井の面としての広がりを大切にしています。
>>木立に佇む家 竣工写真 その1
>>木立に佇む家 竣工写真 その2
>>木立に佇む家 竣工写真 その3
『風が吹抜ける家』の書斎の本棚、壁、デスク(机)に使用。ウレタンクリア仕上(3分ツヤ)
『早川皮フ科クリニック』シナ合板のソフトな風合いをいかした待合い室のベンチ 十字に板を組むことで、床から浮いてみえる軽快なデザインにしています。
>>関連ブログ2010.2.18 化粧合板の柾目、板目、杢目
>>設計事務所アーキプレイスの動画 You Tubeチャンネル archiplacejapan
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